今やデジタルマーケティング施策において欠かせない仕組みとなっているレコメンドツール。「おすすめする」「推薦する」という意味をもつ「レコメンド(recommend)」の言葉通り、一定のルールに基づき、ユーザーに適した商品やコンテンツを表示するシステムです。
そんなレコメンド機能を活用したツールはいくつかの種類がありますが、きちんと目的に即したツールを選んでいるでしょうか?
今回は、レコメンドウィジェットとレコメンドエンジンの違いについて解説するとともに、使うべきレコメンドツールをご紹介します。
レコメンドウィジェットとは
レコメンドウィジェットは、WEBサイトの記事やコンテンツページの下に、「レコメンド枠」として広告や記事コンテンツを表示させるツールです。
例えば、Yahoo!ニュースの記事下部に「あなたにおすすめの記事」として表示される記事や広告が目に入ったことはないでしょうか?
決してランダムに表示されているのではなく、記事を読んだユーザーのデータを分析し、興味関心がありそうなコンテンツや広告がおすすめとして表示されるため、CVの可能性やコンテンツを読んでくれる可能性が高いユーザーに届けることができるシステムです。
ネイティブ広告の一種であるレコメンドウィジェット型広告は、インフィード広告にも似ていますが、掲載される枠が違います。インフィード広告が表示されるのはコンテンツとコンテンツの間(フィード内)であるのに対し、レコメンドウィジェット型広告はコンテンツを読み終わった後の枠(レコメンドウィジェット内)に表示されます。
レコメンドエンジンとは
レコメンドエンジンは、WEBサイトやECサイトにおいて、ユーザーの好みに合った商品やコンテンツを表示させるツールです。
さらに、サイト内のコンテンツが商品か記事かで2つに分類することができます。
主にECサイト:EC(商品)レコメンド
ユーザーの閲覧データや購買データを元に、ユーザーの好みに合わせた商品をおすすめとして表示し、購買を促すツールです。
例)
- あなたにおすすめの商品
- この商品を見た人はこんな商品も見ています
- 買い忘れはありませんか?
- ウィークリーランキング
上記のような商品を自動表示させ、ユーザーの利便性を向上させるとともに、収益アップにつなげます。
主に情報メディア:コンテンツレコメンド
主にニュースサイトなどの情報サイトにて、ユーザーの関心に合わせた自社サイト内の記事コンテンツをおすすめとして表示し、サイト内コンテンツの閲覧数、滞在時間や回遊率を向上させます。
レコメンドで使われているシステムの種類
レコメンドツールは、裏側で高度な分析や統計を行い、レコメンド表示しています。
そんなレコメンドシステムのうち、いくつかの手法をご紹介します。
まず、パーソナライズ化されているかいないかで大きく2つに分けられます。
ルールベース・ポピュラリティ
パーソナライズ化されていない手法はレコメンドの基本ともいえ、とてもシンプルです。
あらかじめ「この属性の人にはこの商品」というルールを決めておき、そのルールに基づいて表示させるルールベースと、人気ランキングに代表されるポピュラリティがあります。季節商品など配信側がおすすめしたいものが明確な場合に用いられます。
さらに進化を遂げ、現在広く活用されているパーソナライズ化されている手法については、もう少し詳しくみていきましょう。
コンテンツベースフィルタリング
ユーザー「個々」の検索や購入した履歴に基づいて、関連する商品をおすすめとして表示させる手法です。あらかじめ商品をグルーピングしておき、ユーザーが検索や購入した商品と類似性の高い商品を表示させます。
協調フィルタリング
ユーザーと似た行動履歴をもつ「他」ユーザーの購買履歴を元に、ユーザーが購入する可能性が高い商品をおすすめ表示する手法です。
コンテンツベースフィルタリングと違うのは、「個々」ではなく「よく似た他人」の行動履歴を元にしてるため、ユーザー自身の情報が少ない場合でも好みに合った商品を表示することができます。
また、ユーザーの想定を超えた意外性のある商品を表示すること=セレンディピティを起こす可能性も秘めています。
さらに、協調フィルタリングはメモリベースとモデルベースに分けられます。
両者の違いは、データをそのまま利用してレコメンドするか、事前に作成しておいたモデルに基づいたレコメンドをするかです。
さらにメモリベースにはユーザーベースとアイテムベースに分けられます。
- ユーザーベース…似ている複数のユーザーの購入履歴を分析し、未購入の商品をレコメンドします。ユーザーの傾向に基づくので、トレンドの移り変わりが早い商品に向いています。
- アイテムベース…ある商品を購入したユーザーが購入することが多い別商品をレコメンドします。アイテムベースの類似性は固定的なため、安定したレコメンドが可能です。
ハイブリッド型
さらに、前述のシステムを組み合わせた手法がハイブリッド型と呼ばれています。
異なるレコメンドを組み合わせることで、それぞれの欠点を補うことができ、より最適なおすすめ表示をすることが可能になります。
使うべきレコメンドツールはどれ?
自社の導入目的によって、使うべきレコメンドツールは異なります。
広告での収益UPを狙いたい
レコメンドウィジェットは、広告で収益を得たいメディアに適しています。
記事の回遊率の向上と共に、コンテンツ内容に関連性のある広告が表示されるので他の広告に比べてクリックしてもらいやすく、収益アップが見込めます。ユーザーの興味に近い広告との接触回数が増えるので、潜在層に効率的にアプローチできる手法といえるでしょう。ただし、メディアにとって不適切な広告が表示されていないかブランディングの観点から注意しておく必要があります。
自社メディアでCVさせたい
サイト内の他のコンテンツをおすすめ表示できるレコメンドエンジンが最適です。
レコメンドウィジェットを利用してしまうと、広告も表示されるため、他サイトへユーザーが離脱してしまう可能性があります。
資料請求や問い合わせなど自社メディア内でCVさせたい場合は、ユーザーが回遊するレコメンドエンジンを活用し、ユーザーのサイト内の行動を分析していくことも重要です。
ブランディングが目的である
オウンドメディアなど、ブランディングを目的としたメディアの場合、広告を表示させることは難しい場合も多いでしょう。レコメンドエンジンを使って、自社サイトの別コンテンツを表示させることで、滞在時間や回遊率の上昇が見込めるため、自社の商品・サービスをしっかり認知してもらえる機会が増えるでしょう。
複数の商品・サービスがある
商品レコメンドエンジンといえばECサイト、というイメージがあるかと思いますが、必ずしもECサイトでなくても導入されています。
例えば不動産情報サイトであれば、ユーザが閲覧した物件に似た条件の物件を表示し、マッチング精度を高め、成約率アップに活用されています。他にも旅行情報や求人情報など複数の商品やサービスがある場合も効果的です。
まとめ
せっかく性能の良いレコメンドツールを使っていても、その機能が自社の目的に合っていないと意味がありません。
自社の課題を明確化し、その課題を解決するために最適なレコメンドツールを選んでいきましょう。
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