時代の変化に合わせて変わる購買行動。昨今ではZ世代を中心に新たな『ジェンダーレス』志向が出てきており、「男性らしく、女性らしく」という考えに囚われずに「自分らしさを大切」にする趣向が若い世代では当たり前な事になりつつあります。
そのため、マーケティングの在り方もこの「ジェンダーレス」に対応していくことが必要となります。今回はそんなマーケティングにおけるジェンダーの考え方のポイントをお伝えします。
ジェンダーレスとは?
ジェンダーとは「社会的・文化的につくられる性別」の事を差します。
ジェンダーレスとはそんな「社会的・文化的につくられる性別」をなくそうとする考え方を意味する言葉です。
例えば看護師という職業ひとつをとっても、以前は女性が「看護婦」、男性を「看護師」というように、男性と女性で別の名称がありました。
近年では小学生のランドセルもカラフルになり、男女共に好きな色を自分で決められるようになったり、ジェンダーレスの制服を採用する学校が増えてきました。
ジェンダーレスとマーケティング
このような考え方が普及したことにより、Z世代を中心に購買行動に変化が出てきています。例えばスキンケア・コスメの市場では、「メンズコスメ」のジャンルが拡大しており、女性だけではなく男性もターゲットにした市場に変わりつつあります。
そのためメーカー側も男性という新たな顧客に対して商品開発商やマーケティングを行う必要性が出てきているのです。
ここで、ジェンダーに対するマーケティングを行うために必要なポイントを紹介していきます。
色合い
「色」はターゲットを決めるとても重要な要素になります。
以前は「男性=青」「女性=赤」といったような色味の選定をよく見かけたかもしれません。ですがジェンダ―レスを意識するのであればニュートラルカラーを心がけましょう。
グリーンやイエロー、パープルは性差を感じにくい色味であり、トーンを調整することで様々な年代にも対応出来るニュートラルカラーです。
またグレージュやモノクロ等も使いやすい色合いと言えるでしょう。
デザイン性
ファッション業界では「ユニセックス」デザインがヒットしていたり、男女の境界線が徐々に薄くなっていることから、今までにない「フェミニン感」を取り入れる男性や「メンズライク」を着こなす女性も増えています。
そんなファッション業界では男女の体格関係なく着用できるパーカーや、肩幅をあえて大きく落としたカタチのアウター、あえて立体感を出すことで男女関係なく同じ格好として楽しめるというようなデザインが多く取り入れられています。
またコスメ業界のパッケージに関しても、男性が持ち歩いても違和感のない、性別に偏り過ぎないデザインが取り入れられることが多くなっています。
価値観
ジェンダ―レス普及の中心にはZ世代がいます。このZ世代は値段やデザインだけではなく、その「価値観」を重視して商品を選び購入する特徴があります。
1990年以降に生れたZ世代は、子供の頃から環境問題やジェンダー問題、消費の先にある人権問題などの意識がとても身近にある世代です。そのため多少値段が高くても「社会貢献できるもの」「問題の解決に近づくもの」というような観点で商品を選ぶ人が多いのです。
サステナブルを意識した商品開発、そしてそれを全面に打ち出すPRもZ世代向けのマーケティング手段の一つと言えます。
ターゲット・ペルソナ
従来のターゲットやペルソナの設計は「年齢・性別・属性」と区切りながら考える傾向にありますが、説明している通りその大きな枠組みの「性別」の考え方が変化しています。
そのためターゲットの定め方にも大きな変化が必要になるのです。
例えば先ほどファッション業界でユニセックスなアイテムがヒットしていると説明しました。これは「自身で着用する」他にもカップルでの着回し、プレゼント等で購入されるなど、購入後の用途が広い事で、男女問わず多くの消費者が購入したことがヒットと理由の一つと言えます。
ユニセックスがあくまで「男女兼用」というかたちで性別の垣根を超えたものとすれば、それを更に「男性らしさ、女性らしさにとらわれない」として男性がスカートを着用する、女性がメンズスーツをオーダーする、まで進んだものがジェンダーレスと言えるでしょう。
ターゲット・ペルソナ設計においても男性と女性だけでなく、ジェンダーレスを項目に追加することが必要不可欠となっています。
まとめ
ジェンダーレスとは何か。そしてジェンダーレスとマーケティングのポイントについて説明しました。ジェンダーに結びつけることをやめることで、根本的に考え直さなければならない概念が多くあり、変化についていくのは難しそうに感じるかもしれせん。
ですが、逆に考えれば今までターゲットが男性だけ、女性だけだった商品の可能性が広がり、新たな市場を開拓できる事は大きな利点になります。
既存商品の訴求をジェンダーレスを考慮した内容に変更したり、ジェンダーレスを意識した商品を新たに開発する場合、闇雲に男女混合にした考えでは良い施策は生れません。
まずは「顧客のインサイト分析」を行い、自社の顧客がどんな人たちだったのかを改めて認識し、消費者からみたブランドイメージ、企業イメージを把握することからお勧めします。
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