インスタグラマーやYouTuberなどのいわゆる「インフルエンサー」を活用してPRを行う企業が増加していますが、中国や香港などを中心に起用されている「KOL」をご存じでしょうか?
よくインフルエンサーと似た扱いをされることもありますが、その特徴は本質的には少し異なります。今から新たにPR手法を探している方は「KOL」の特性を理解した上で、自社に合った手法を検討していただければと思います。
KOLとは
KOLとは、Key Opinion Leader(キーオピニオンリーダー)の略で、特定の分野における専門知識や知見を持ちつつ、インターネットやSNSを通じて世の中に対して影響力がある人のことを指します。
もともとは医療業界で使用される言葉でしたが、マーケティングにおいては、中国や香港、台湾などのアジア圏を中心に浸透しているマーケティング手法の1つとして使われています。
Weibo(ウェイボー)などの中国で主流とされるSNSで影響力のある人を指しているため、日本では「中国版のインフルエンサー」と呼ばれることもあります。
KOLとインフルエンサーの違い
KOLとインフルエンサーの大きな違いは、前述でも少しお伝えしていますが「専門性」を持っているか否かです。
インフルエンサーは大きな影響力を持っていますが、特定の分野に関する専門性が高くはないのが特徴です。
一方で、KOLは影響力と専門性を兼ね備えているので、その知識を活かして高い訴求が実現できたり、ユーザーからの信頼性が高いというのが特徴です。
例えば、ある健康食品をユーザーに広めたいとなった場合、単に美しい女性に紹介してもらうよりも、健康や栄養について専門性のある人に紹介してもらった方が、芯を捉えた訴求が可能になり、ユーザーに対しての説得力も上がります。
当然のことですが企業にとって専門性の高いKOLを採用した方が、商品・サービスに対する信頼性を高めながら広めることが可能になるでしょう。
KOLの特徴
マーケティングで必要とされているKOLの3つの特徴についてご紹介します。
特定の分野における専門性
KOLで一番の特徴と言えるのが「特定分野における専門性」です。
一般的なユーザーでは持っていないような豊富な情報や知識をもったその道のエキスパートになります。
コミュニケーション能力が高い
情報を発信していく際に一方通行なやり方ではなく、ユーザーとの信頼関係を築けるようなコミュニケーション能力を有しているというのも特徴になります。
SNSでいくら有益な情報を発信をしても、ユーザーに刺さるようなアプローチが出来ていなければ意味がありません。そのため、ユーザーにわかりやすく且つ親しみを持ってもらえるようなコミュニケーションが可能な人である必要があります。
感度や柔軟性が高い
KOLは新しい情報を手に入れるために、常にアンテナを張り巡らせているので感度が高いという特徴を持っています。そのため、新しい商品・サービスに対しての抵抗が少なく、柔軟に受け入れることができる人が適しています。
KOLのメリット・デメリット
次にKOLの具体的なメリットとデメリットについてご紹介します。
KOLのメリット
信頼性が高い
KOLマーケティングの最大のメリットは、やはり「信頼性が高い」ということです。特定の分野について専門性がある人からの情報だと、ユーザーは安心して受け入れてくれるので購入に繋がりやすくなります。また、ユーザーからの質問や疑問に対しても、専門性とコミュニケーション能力を活かした対応も可能なので、更に信頼度を高めることができるでしょう。
認知度の向上
KOLは多数のフォロワーを抱えているため、一気に多くの人に情報を届けることができ、認知度の向上に繋がりやすくなります。今だと過半数の人がスマホを所持しているため、移動時間や隙間時間を使って閲覧する機会が多く、認知を高めるには非常に有効な手段と言えるでしょう。
海外への発信
海外に向けた商品・サービス展開を成功させるためには、多額なコストと膨大な時間が必要となります。しかし、この手法であれば、海外のKOLを起用することで国内外でのギャップを縮めることが可能となり、海外のユーザーがその商品・サービスを受け入れる下地が出来上がっている状態からスタートできるので、効率よくスムーズにプロモーションを進められるようになります。
KOLのデメリット
コストが高い
影響力のあるKOLに依頼しようとするとコストが高くなってしまう場合が多いです。あくまで目安にはなりますが、マイクロKOL(フォロワー数1万~10万人)だと数万円から、ミドルKOL(フォロワー数10万~100万人未満)だと数十万円から、トップKOL(フォロワー数100万人以上)だと数百万円を超えてくるケースも少なくないようです。
より多くの人に情報発信できた方が良いと思いがちですが、リーチ力が高いからと言って、必ずしもエンゲージメントやコンバージョン率が高いとは言い切れません。起用する際は、今までの実績などは勿論、そのKOLが持つ専門性が本当に自社商品・サービスと親和性が高いのかも踏まえながら慎重に選定する必要があるでしょう。
ディレクションが難しい
KOLは専門性が高いというメリットもありますが、KOLと企業の意図をしっかりとすり合わせておかないと、企業が思っていた方向性とは異なる情報が発信されてしまう場合があります。
しかし、企業でテンプレート化されたような情報を発信しても、KOLの専門性を殺してしまったり、逆にユーザーから不信感を抱かれてしまう可能性もあります。
ユーザーに商品・サービスの魅力を届けるためにも、KOL・企業の方向性を十分に見定めてから発信することが重要になります。
効果が一過性になる
KOLというよりSNSの特徴に付随するデメリットとも言えますが、SNS上では日々情報が更新され続けていくので、一度発信した情報は日を追うごとにどんどん埋もれていってしまいます。KOLマーケティングは効果が一過性になってしまうということも想定しながら進める必要があるでしょう。
まとめ
今回は「KOL」の概要やメリット・デメリットについて解説しました。
専門性の高いKOLを起用することで質の高いPRが実現できたり、商品・サービスの認知度を効率的に高めることができます。自社のイメージや今後進めていきたい方向性に合わせて、KOLを活用していくと良いでしょう。
ただKOLの起用等を考える前にしておくべきことは「ユーザー分析」です。
KOLを活用するにしても、どんなユーザーを狙っていくかによって、起用する際の条件も大きく変わってきます。前段階でしっかりと分析しておかないと見当はずれの施策に終わってしまう、ということも起きえます。
弊社が提供している分析サービスでは企業は勿論、顧客自身も気付いていないようなニーズや関心を分析することで、競合も踏み入れていない層を発掘することが可能です。
「今のターゲット・方向性はこれで合っているのか」「新たな顧客を見つけたい」というお悩みのある方は、ぜひお気軽にご相談ください。お客様の状況に沿った分析や施策をご提案いたします。