近年、日本の広告市場の中でも著しく需要が拡大している動画広告。
取り組んでみたものの、効果測定や分析を行うには、どの指標を見ていけばいいのかわからない…と悩まれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、どのようにKPIを設定し、PDCAを回していくべきか解説します。
動画広告の効果測定の指標とは
動画広告の優れている点の一つは、計測ツールによってリアルタイムで効果の数値を確認できることです。
データを見て終わりにするのではなく、常に分析し、改善に繋げていくことが大切です。
まずは、動画広告の効果を正確に把握するために、押さえておきたい基本的な指標4つをご紹介します。
再生回数
再生回数あるいは視聴回数は、その名の通り動画がどれだけ視聴されたかを示す数値です。
たくさんの人の目に触れれば触れるほど、高い宣伝効果があったと判断できるので、最もわかりやすい指標といえるでしょう。
ただし、再生回数のカウント基準が媒体によって異なることに注意が必要です。
YouTubeの場合、動画視聴を前提としているため、視聴者が30秒以上広告を再生するか、広告をクリックした時のみカウントされます。
一方Twitterの場合は、投稿コンテンツの一つとして動画があるため、動画が50%以上画面にある状態で2秒以上経過、または視聴者が動画を拡大したりミュートを解除した時にカウントされます。
完全視聴率
広告の表示回数のうち、動画広告が30秒以上または終わりまで再生された視聴の割合のことです。
たとえ視聴回数が多くても、完全視聴率が低い場合は問題ありと考え、軌道修正が必要になります。
途中で再生をやめてしまうということは、本来広告で伝えたかったことが視聴者に伝わっていない可能性が高く、十分な成果に繋がらないこともあるでしょう。
よく「最初の5秒が勝負」と言われる動画広告の完全視聴率を上げるためには、導入部分でいかに視聴者を惹きつけることができるかが重要になってきます。
クリック数
動画広告の視聴者が広告をクリックした回数のことです。広告に対するユーザーの反応として非常にわかりやすい指標です。商品やサービスの魅力をどれだけ伝えられたか、興味を持ってもらえたか把握することができます。
クリック率が低い場合は、広告の内容、掲載媒体、キーワードやターゲティングの設定などの見直しが必要になります。
コンバージョン数
動画広告をクリックした視聴者が広告の目的であるアクション(商品購入や資料請求、お問合わせなど)を起こし、成果につながった数のことです。
動画広告によって実際にユーザーの行動を促したということが明確になるため、このコンバージョン数をいかに増やすかが重要となります。
また、コンバージョン数をクリック数で割った値がコンバージョン率ですが、
クリック数が多くても、コンバージョン率が低い場合は、クリックした先のLPに課題があるケースが多いです。広告内容と商品・サービスとのイメージのズレやサイトデザインやUIなどのユーザビリティの悪さなど改善ポイントはいくつもあります。
KPIの設定方法
動画広告で見るべき指標には様々なものがあることがわかりましたが、それをふまえて、広告出稿の目的によって注視すべき指標は変わってきます。
まず、動画広告を使った施策を行う場合、どのくらい効果が出たか測定するために、KPIを設定する必要があります。
KPI設定を行うには、はじめに動画広告の目的を明らかにしましょう。
広告配信の目的は大きく分けて下記の3つがあります。
- 認知:自社商品やサービスの認知度をアップさせる
- 検討:自社商品やサービスの理解を深め、比較検討してもらう
- 行動:ユーザーに購入や問い合わせなどの行動を促す
目的の設定から迷う場合は、先にターゲット層のインサイトを把握し、現在の課題を明確にすることから始めましょう。
関連記事》顧客インサイト」の重要性とは?分析のポイントについても解説
目的別見るべき指標
「認知」が目的
<見るべき主な指標>
- 動画の再生回数:動画広告の再生数と、クリックされて再生された回数
- インプレッション数:(視聴の有無に関わらず)動画広告が表示された回数
- ユニークユーザー数:動画広告を視聴した人の実数
- ブランド認知度:ブランドがどのくらい認知されているか
目的が認知度アップの場合、より多くの人に動画広告を見てもらい、商品やサービスを知ってもらえたかが重要です。
また、動画を見た人と見ていない人に分けて、アンケートで「ブランド認知度」や「広告想起率」の数値を比較することで、その動画広告が認知度向上に繋がったか知ることができます。
「検討」が目的
<見るべき主な指標>
- 完全視聴率:動画広告が表示された回数のうち、再生完了または一定以上の秒数まで再生された回数の割合
- 総再生時間:動画広告が再生された時間の合計
- 比較検討:動画広告のコンテンツが商品やサービスの比較検討に影響したかどうか
- ブランド好感度:動画広告によってブランド好感度が変化したか
- ブランド関心度:動画広告によってユーザーが商品やサービスに興味・関心をもち、検索したか
商品やサービスにどれだけ興味を持ってもらえるか、ブランドを好きになってもらえるかが大切です。そのため、できるだけ長い時間動画を視聴してもらい、ユーザーに商品やサービスの理解を深めてもらえているかが指標となります。
また、動画を見た人と見ていない人に分けて、アンケートで「ブランド好感度」「比較検討」の数値がどのくらい伸びたか調べることや、動画配信の前後でGoogleの指定キーワードのオーガニック検索数の変化を見ることも効果的です。
「行動」が目的
<見るべき主な指標>
- クリック数:動画広告が表示された回数のうちクリックされた数
- コンバージョン数:商品購入や問い合わせ数などの合計
- コンバージョン率:コンバージョン数を動画広告を埋め込んだLPの訪問者数で割ったもの
- 購入意欲:動画広告によって、商品やサービスの購入意向が変化したかどうか
商品・サービスの購入や問い合わせなど、ユーザーに行動を促すことが目的の場合は、ユーザーの行動を測る指標に注目します。
少しでも多く行動を起こしてもらうことが重要なため、購入有無に関わらず、購入意向に変化が起きたかどうかも大切な指標の一つです。
PDCAの回し方と改善すべきポイント
動画広告を配信する際は、ただ計測して終わりではなく、結果を分析しクリエイティブの改善を行ったり、次の施策に生かしていくことが大切です。
まず効果の高かったクリエイティブと低いクリエイティブの要素を分解して、「何がよかったのか」「何が悪かったのか」を言語化しましょう。
改善すべきポイント
基本指標の説明と重複する部分もありますが、チェックポイントはどこか改めて解説していきます。
視聴回数が少ない場合
適切なターゲットに適切な動画広告を届けられていない可能性があります。
配信先をターゲット層に合ったチャンネルに変えたり、動画の冒頭で興味を惹きつけられるよう改善点がないかを探ってみましょう。
完全視聴率が低い場合
動画の構成に課題があることが多いです。動画の目的を改めて明らかにし、必要な情報を整理して再構成したり、視聴者の求めているコンテンツは何か今一度考えることも大切です。
また、完全視聴率が低いのにクリック率が高い場合は視聴者が早い段階で行動に移っているので、短い動画に作り直せば費用対効果が上がるかもしれません。
クリック率が低い場合
完全視聴率が高いのにクリック率が低い場合は、CTAやテキストに改善点があると考えられます。動画の後半、行動を促す部分を見直してみましょう。
コンバージョン率が低い場合
動画広告のコンバージョン率は、動画の内容で十分に魅力が伝えられているかが非常に重要です。また、動画広告そのものだけではなく、LPや購入・申込フォームの内容までの一連の流れも決して軽んじてはいけません。動画広告の完全視聴率やクリック率が高いのであれば、その内容を元にLPの構成を考えてみるのも一手です。
まとめ
数秒で多くの情報をわかりやすく伝えることができ、ユーザーにインパクトを残せる動画広告は、積極的に導入していきたい広告媒体の一つです。
指標はあくまで数値にすぎないので、誰に何を届けたいのかの目的意識をしっかりもち、活用していきましょう。
メリットの多い動画広告ですが、使い方を誤るとネガティブなイメージを持たれてしまう可能性もゼロではありません。
すでに動画広告を活用中または検討中の方の中には、
- ユーザーにきちんと広告が届いているか
- 不適切なコンテンツに広告が表示されていないか
- 広告の無駄うちになっていないか
といったお悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ブランドイメージを損ねるコンテンツに広告表示されたり、態度変容に繋がりにくいカテゴリへの表示は避けたいと考えるのは当然の流れです。
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