従来のマーケティングは「ファネル」モデルが主流となっていましたが、持続的なビジネスの成長を実現していく為に、今注目されているのが「フライホイール」です。HubSpotが2018年に提唱した非常にエネルギー効率に長けたビジネスモデルとなり、Amazonの創業者であるジェフ・ベゾスが実践するなど、従来の「一方通行」と揶揄されるファネルとは異なる循環型ビジネスモデルです。
今回はそんな「フライホイール」の概要や実践方法について詳しく解説していきます。
フライホイールとは
フライホイールは、日本語で「羽根車」や「はずみ車」等と訳され、エネルギーを効率的に循環させる機械のことを指します。自社で生み出した良いエネルギーを回転・蓄積をしたら、そのエネルギーを新たな経路に広げてビジネスを拡大していくというモデルです。
HubSpotが提唱したフライホイールでは、「Attract(惹きつける)」「Engage(信頼関係を築く)」「Delight(満足させる)」といった3つのステップに分けて考えています。顧客の課題解決のために情報やサービスを提供したり、顧客とのコミュニケーションを通して信頼関係を築いて、結果的に満足した顧客が口コミで新たな顧客を連れてくるといったポジティブなエネルギーを増幅させることで、自社の利益や事業拡大に繋げていくという考えです。
ファネルとの違い
従来のマーケティングで主流とされていた「ファネル」は、できるだけ多くの人に自社を知ってもらい、その中の一部と関係を構築して購入に繋げるという考えです。
図の通りファネルは、漏斗のように上から下へと「認知」「関心」「検討」「購入」「継続」といったステップが一方向になっている為、フライホイールのような循環型のモデルではありません。そのため、購入顧客へのフォロープロセス等が煩雑になり、顧客のリピート率やエンゲージメントの向上が難しいとされています。
フライホイールを導入するメリット
次にフライホイールを導入するメリットを解説します。
収益やブランド価値の向上
顧客と継続的に関係を築いていくことで、リピート購入が増えたり、顧客による口コミや紹介が増えて、収益やブランド価値の向上に繋がります。
顧客ニーズを理解できる
顧客との関係を構築すれば、アンケート等の内容から顧客のニーズを引き出せたり、課題を洗い出すことが可能になります。その為自社だから作れる唯一無二の価値を生み出せたりと、競合優位性の確立にも繋げられるでしょう。
事業の成長
フライホイールを導入することで、組織全体で顧客ニーズに対する理解を深めようとする動きが強くなります。それによって自社の商品・サービスの改善や最適化を図ったり、新たな開発案を生み出したりと事業の成長に繋げることが可能になります。
フライホイールの実践方法
次にフライホイールを活用していくために、どのようなステップを踏めばいいのかについて解説します。
現状の整理・把握
まず始めに自社の「現状の整理・把握」から行いましょう。
フライホイールは、「Attract(惹きつける)」「Engage(信頼関係を築く)」「Delight(満足させる)」といった3つのステップに分かれているので、それぞれの段階で何が課題になっているのか、どんなアプローチが適切なのかを「顧客志向」でしっかりと整理・把握をしましょう。
リソース分配の最適化
次にリソース分配の最適化を行いましょう。
フライホイールをうまく回していくためには、顧客満足度を高めてそのエネルギーを効率よく循環させていく必要があります。そのため「Attract」「Engage」「Delight」の中で、今どこにリソースを割くべきなのかをしっかりと見極めて、最適化を図る必要があります。
摩擦発生ポイントの特定
次に顧客の離脱やクレーム等、摩擦が発生するポイントの特定を行いましょう。
フライホイールは「羽根車」のような構造になっているので、摩擦ポイントがあるとその分循環スピードが落ちてしまいます。摩擦の発生は、組織の内部・外部ともに起こりうるので、どこで発生しているのかをしっかりと特定し、最適な改善を行うようにしましょう。
摩擦の改善方法を探す
次に摩擦の改善方法を探していきましょう。
外部要因は、顧客から寄せられる口コミやアンケートから把握できるので、具体的な解決策を考えることが可能です。しかし内部要因はマーケティング・営業等、組織が複雑に絡み合っているため、摩擦ポイントを解決するのに時間を要することが多いです。目の前の課題だけでなく目標の再設定や組織編成の見直し等、組織としてどう動くかがポイントになってきます。
まとめ
今回はフライホイールの概要や実践方法について解説しました。
マーケティング戦略を立てていく上で、従来主流であったファネルではなく、インターネットの発展や顧客の購買行動パターンが多様化してきた現代においては、フライホイールのような顧客志向かつエネルギーを好循環させていくモデルの方が効率的と言えるでしょう。
まだ実践できていない方はこの機会にフライホイールを取り入れてみてくださいね。
また顧客の購買行動パターンが多様化している背景には、新たなサービスやSNSが次々と開発されていることも影響しています。そしてSNSは今やユーザーの大半が時間を費やすプラットフォームであり、そこには商品・サービスの新たな着想となり得る情報が溢れています。
しかし、そういったSNSのデータを活用したマーケティング戦略を立てられている企業はそう多くはありません。
ソーウェルバーでは、そんな情報の宝庫とも言えるSNSデータを活用したユーザー分析ツール「HAKURAKU」を使って、自社に求められている潜在的なニーズや関心を分析し、革新的なマーケティング戦略をご提案させていただきます。興味のある方はぜひお気軽にお問い合わせください。