近年、注目を集める「バリュープロポジション」をご存知でしょうか。
バリュープロポジションとは、「自社が顧客に提供できる独自の価値」を指しています。
顧客のニーズが多様化する現代では、企業が生き残るために欠かせないものになってきました。
今回は、バリュープロポジションの作り方や注意点を成功事例なども交えながら解説します。
- 目次
- バリュープロポジションとは
- バリュープロポジションが重要な理由
- バリュープロポジションの成功事例
- バリュープロポジションキャンバスとは
- バリュープロポジションキャンバスの作り方
- バリュープロポジションの落とし穴
- まとめ
バリュープロポジションとは
バリュープロポジション(value proposition)とは、企業が顧客に提供する価値のことを指す言葉で、「顧客のニーズが高く、競合他社が提供できていない独自の価値」を示すものです。
バリュープロポジションとして、商品やサービスが何を提供でき、どのように顧客の問題を解決するか伝えることが重要です。
バリューポジションが明確であるほど、顧客は商品やサービスの価値を理解しやすくなります。その結果、顧客から選ばれやすくなるのです。
バリュープロポジションが注目される理由
バリュープロポジションが注目される理由に、マーケティングの「ニッチ化」があります。
マーケットが成熟するにつれ、顧客の選択肢が増え、簡単には自社の商品やサービスが選ばれにくくなっています。
顧客に選んでもらうためには、自社の独自の価値を明確に打ち出す必要があるのです。
近年、そのことに囚われすぎて、無理やり競合との差別化を図るために奇をてらったニッチな商品を作ってしまうケースが増えてきました。
その場合、顧客のニーズや求める価値とはかけ離れた商品ができるため、かえって顧客減少に繋がってしまうこともあります。
このことを避けるために、バリュープロポジションの考え方が重要になってきたのです。
バリュープロポジションを上手く活用することで、顧客目線に立った価値の訴求が効果的に行えます。顧客が本当に求めているニーズを理解し、自社が提供できている価値との差異も明確にできるため、競合との差別化にとどまらず、売上アップや利益率の向上へつながることもあるのです。
バリュープロポジションの成功事例
バリュープロポジションの策定で成功している商品やサービスはいくつもあります。
今回はその中から3つご紹介します。
iPhone
当時の携帯電話は、多くの機能を搭載しているものの、直感的な操作がしづらいという課題を抱えていました。
Appleが開発したiPhoneは、競合との差別化を図るため、スマートフォンを単なる機能の集合体にするのではなく、美しいデザインと直感的な操作ができる新しい価値を創出しました。
そのことで市場での揺るぎない地位を確立し、生活に欠かせないものになっています。
Airbnb
Airbnbは独自のバリュープロポジションの設定によって、従来の宿泊システムとの差別化に成功し、爆発的に普及した例の一つです。
旅行者に地元の暮らしを体験できる宿泊サービスを提供し、同時に物件オーナーには空き部屋を活用できる機会を与えました。
このシステムは旅行者とオーナー双方のニーズを満たし、世界中どこでもオンライン上で手軽なマッチングできる利便性も相まって、成功を収めました。
Seria(セリア)
セリアのバリュープロポジションは「100円で買えるおしゃれな商品」であることです。
単に安いだけでなく、デザイン性と品質を兼ね備えた商品を提供できることが強みとなっており、低価格でありながらおしゃれな商品を求める顧客のニーズを満たすことができたのです。
100円ショップの中でも顧客に対する価値が明確になった存在です。
バリュープロポジションキャンバスとは
「自社の商品やサービスの価値が顧客のニーズとマッチしていない」という問題を防ぐために生まれたのが、バリュープロポジションキャンバスです。
自社のバリューポジションを的確に把握し、顧客ニーズとのズレを可視化、整理するためのフレームワークです。
バリュープロポジションキャンバスは大きく分けて「顧客セグメント」と「提供価値」の2つの主要要素から成り立っています。
顧客セグメントでは、ターゲットとする顧客層を明確にし、彼らのニーズや課題を整理します。
一方、提供価値では、顧客のために自社の製品やサービスがどのような価値を提供できるのかを具体的に考えます。
バリュープロポジションキャンバスの作り方
STEP1 顧客のターゲットを設定する
まず初めに、ターゲットとする顧客セグメントを明確に特定します。顧客のニーズや課題を深掘りし、彼らが何を求めているのかを徹底的に洗い出しておくことが重要です。
STEP2 顧客のニーズと課題の整理
最初に設定した顧客セグメントを思い浮かべながら、顧客のニーズや課題を整理します。
顧客が直面している問題や欲している価値をリストアップし、それを解決するための妨げとなっている要因も分析します。
STEP3 自社が提供できる価値を明確化する
自社の商品やサービスが顧客のニーズをどう満たすことができるのか、どのような価値を提供できるのかを明確に定義します。
顧客の課題に対する具体的な解決策や優れた利便性を示すことがポイントです。
STEP4 仮説を立てて検証する
バリュープロポジションキャンバスに基づいて立てた仮説を、実際の顧客を通じて検証します。このプロセスには顧客インタビューやフィードバック収集が含まれ、実際のニーズにどれだけ応えられているかを確認するための重要なステップです。
バリュープロポジションキャンバスを用いることで、自社の提供価値と顧客のニーズのズレを明確にし、新しいサービスの開発や既存サービスの改善に活用することができます。
また、他のフレームワークと併用することで、さらに包括的なマーケティング戦略を築くことが可能です。
バリュープロポジションの落とし穴
バリュープロポジションの作成時に陥りがちな3つの落とし穴があります。
自分たちの想いが先行してしまう
まず1つ目に、自分たちの体験や想い、競合サービスへのアンチテーゼ、テクノロジーの優位性、トレンド予想などによって、自分たちの想いが先行してしまい、顧客のニーズを置き去りにしてしまうことがあげられます。
どんなに画期的、最先端のものであろうと顧客が必要としていなければ意味がないことは忘れてはいけません。
既存の企業価値(アセット)に囚われる
既存のアセットに囚われてしまうことも落とし穴の一つです。
顧客データベースや技術、営業やマーケティングのノウハウなどがアセットに該当します。
既存のアセットが大きいほど、成熟した産業や企業であればあるほど、陥りやすい傾向があるといわれています。
「自社が提供できる価値」と「競合他社が提供できない価値」だけで考えてしまい、顧客のニーズと合わない商品やサービスを企画してしまうのです。
顧客ニーズに全て応えようとする
逆に顧客ニーズに応えようとしすぎることも失敗に繋がる理由の一つです。
顧客が望んでいるニーズは多種多様であるにもかかわらず、幅広く対応しようとした結果、自社の開発が追いつかなくなったり、競合優位性がわかりにくい商品になってしまったりします。
自社が狙うのはどのセグメントで、どのニーズに応えるのか選別することも大切です。
まとめ
バリュープロポジションは、企業が顧客に提供できる価値を明確に示せるものであり、市場競争が激化する中でますます重要性が増しています。
顧客のニーズが多様化し、選択肢が増えた現代において、バリュープロポジションを明確にすることで、他の競合他社とは異なる独自の価値を訴求することができます。これにより、企業は顧客に対して強い印象を残し、選ばれる存在となれるでしょう。
また、バリュープロポジションを作成するプロセスそのものも重要です。このプロセスを通じて、企業は顧客の真のニーズや問題点を深く理解し、それに応えるための最適な価値を提供することができるのです。
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