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トレンド「トータルエクスペリエンス(TX)」とは?総合的なアプローチで良質な体験を!

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近年IT業界でトレンドとなっているトータル・エクスペリエンス(TX)。
聞いたことはあっても、効果や重要性をまだ把握しきれていないという方も多いのではないでしょうか。
今回は「TXとは何か」という基礎知識から、TXに取り組むメリットや向上させるためのポイントをわかりやすく解説します。

トータルエクスペリエンス(TX)とは?

トータルエクスペリエンス(TX: Total Experience)とは、ビジネスにおいて以下の4つを融合させ、体験を総合的に向上させる戦略のことです。

  • ユーザーエクスペリエンス(UX)
  • カスタマーエクスペリエンス(CX)
  • エンプロイーエクスペリエンス(EX)
  • マルチエクスペリエンス(MX)

企業が利益を拡大しさらに成長していくためには、優秀な人材と顧客をいかに確保するかが重要です。
そのため、従来の経営戦略では顧客の満足度に関わるUX・CXと優秀な人材確保するためのEXはよく課題として取り上げられてきました。
しかし、それぞれの概念は別々に扱われ、互いに影響し合うことはほとんど意識されていませんでした。

そんな中で生まれた概念がTXです。
顧客体験はもちろん、従業員の体験やデジタル体験(MX)を総合的にリンクさせ、広い視点から包括的なアプローチを目指します。
そうすることで、それぞれの体験が相乗効果を生み、大きな価値を得られるようになるのです。

トータルエクスペリエンス(TX)の要素

前述の通り、TXは4つの要素で構成されています。
効果的に取り組むために、まずこの4つの要素をおさらいしておきましょう。

ユーザーエクスペリエンス(UX)

ユーザーエクスペリエンス(UX:User Experience)とは、顧客が商品やサービスを利用して得られる体験、感情や認識、反応、行動のことを指します。

近年、商品やサービスが市場に溢れ、品質・価格差がなくなる「コモディティ化」が進んでいます。
そのため、商品そのものだけではなく、体験が重要視されつつあります。
UXを高めるためには、ユーザー目線で商品やサービスを作り、ユーザーのニーズを満たすことが必要です。
例えば、「ECサイトの動線のわかりやすさ」「店舗商品の探しやすさ」「商品の使いやすさ」などが一例です。
必要な取り組みは商材やターゲットなどによって異なります。
まずはペルソナ設定や市場分析を行い、顧客ニーズを整理すると良いでしょう。

カスタマーエクスペリエンス(CX)

カスタマーエクスペリエンス(CX:Customer Experience)とは、商品やサービスを利用した際の顧客体験のことを指します。
商品の取扱店の検索、購入前の商品問い合わせ、比較検討、接客、使用感から、購入後のアフターサービスまで全ての体験が評価対象となります。

購買行動においてUXを積み重ねたものがCXだと考えても良いでしょう。
例えば、レストランで料理が美味しくても、接客対応が悪かったり、掃除が行き届いていなければ全体の満足度は下がってしまいます。
商品やサービスそのものだけではなく、ユーザーが体験するすべてのプロセスで好感を持ってもらえることが必要なのです。

CXの向上には、ユーザー心理や行動を把握することが欠かせません。
ITシステムやフレームワークをうまく活用し、ユーザーとの接点や一つ一つの行動・工程において改善点がないか探っていくことが大切です。

エンプロイーエクスペリエンス(EX)

エンプロイーエクスペリエンス(EX:Employee Experience)とは、企業で働く従業員の体験を意味します。
具体的には、労働環境や待遇、人間関係、キャリア形成など仕事に関するあらゆる事柄が含まれます。
従業員の満足度が低いと、職場の士気が下がり、パフォーマンスの低下、ひいては業績に悪影響を及ぼすこともあるでしょう。

EXを高めるには、サーベイや面談の実施、公正な人事評価、労働時間や内容の適正化など快適な労働環境を整える施策が必要になります。

EXが高まれば従業員の定着率や生産性の向上につながるため、結果的にCXの向上も期待できます。

マルチエクスペリエンス(MX)

マルチエクスペリエンス(MX:Multi-Experience)とは、さまざまなデバイスを通じたタッチポイントからの一貫した体験のことを指します。
拡張現実(AR)や仮想現実(VR)、複合現実(MR)、アプリ、IoTなどのテクノロジーを通して、現実世界では難しいユーザー体験が得られます。

例えば、スマートフォンで自宅に居ながら服の試着ができる「バーチャルフィッティング」や、商品をすぐに受け取れる「モバイルオーダー」、360度カメラを使いお部屋探しができる「バーチャル内見」などがあります。
近年、オンラインでのユーザー体験を高めることが重要視されてきています。
MXに取り組むことで、デバイスやプラットフォームに関わらないシームレスな体験が実現でき、CX向上にも期待ができるでしょう。

トータルエクスペリエンス(TX)に取り組むメリット

TXに取り組むと、以下の2つのメリットがあります。

商品・サービスの品質向上

より良い商品・サービスを提供するためにUXやCXを意識的に取り入れてきた企業も多いことでしょう。
しかし、従来の1つの要素に特化した取り組みは、他の要素に影響を及ぼす可能性がありました。
例えば、ユーザーの要望に応えるため、人的リソースを使って改善すればCXが向上します。
一方で、従業員の負担は大きくなり、ストレスや疲労を感じた従業員のEXが低下してしまいます。
従業員のEXが低下すると、商品・サービスの質が落ち、結果的にCXが以前より落ちてしまうことも考えられるのです。
TXは、関係者すべての満足度を考えて多方面から改善を行うので、一方にしわ寄せが来るのではなく、高品質な商品・サービスの提供が目指せるようになるのです。

新たな価値を創出できる

TXは従業員のモチベーション向上に寄与するため、社内組織間の協力や連携強化にもつながります。
今まではバラバラだったデータが統合され、包括的な分析が可能になるため、新しい施策やアイディアが生まれやすくなります。
そうすることで、長期的な目線での企業の成長、利益拡大の可能性が期待できます。
また、ユーザーからも従業員からも信頼されることで、企業のブランディングにもつながるのです。

トータルエクスペリエンス(TX)を実現している事例

TXの概念が生まれる前から、高いレベルでTXが実施できている企業として有名なのはAppleです。
ユーザーに革新的で魅力的な体験を提供し(UX・MX)、熱狂的なファンを生み出している(CX)のはよく知られていることでしょう。
一方で、EXの視点で見ても、2015年以降従業員の定着率を90%近くまで向上させています。
業界水準より高い報酬やきめ細やかな福利厚生を軸としながら、平等で柔軟な組織であること、育成サポート体制やキャリアアップの機会などさまざまなメリットを提供し、従業員のエンゲージメントを高めているのです。

トータルエクスペリエンス(TX)に取り組む方法とポイント

TXを実現させるためには、企業が関わるすべての人々の体験を見直し、俯瞰で全体を見たときにプラスとなる施策を実施していくことがポイントです。

4つの要素をまとめて考える広い視点を持つ

従来、日本のビジネスシーンでは「お客様は神様」という言葉からも分かるように、顧客やユーザーの満足度に重きを置き、従業員の満足度が後回しにされがちな傾向がありました。
UXやCX、MXばかり重視してしまうとEXが低下してしまいますし、逆にEXだけに偏ればUXやCXの向上は難しくなるでしょう。
人々のつながり、関係性を意識して、4つの概念を「広い視点」を持って考えていくことが大切です。

ITツールの活用

TXの実現には、ITツールを積極的に取り入れていくことが不可欠です。
例えばCXの向上のためには、CRM、MAツールなどのより良いユーザー体験をサポートしてくれるツールがあります。
テレワークなど働き方も多様化してきている昨今、従業員が快適に働けるような業務システムを導入しEX向上を目指すのも良いでしょう。

まとめ

トータルエクスペリエンス(TX)はまだ登場してまもない、新しい考え方です。
企業に関わる全ての人に対して、ポジティブな体験を提供することで、企業の成長に繋げていけるため、競合ひしめく今日のビジネス業界では欠かせない要素となっていくでしょう。
企業の市場での価値を高め、利益拡大を目指していきましょう。

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