日々進化を続けるWEBマーケティングの世界でも、基本ともいえるリターゲティング広告。上手く使えばCVにつながりやすいユーザーにピンポイントで広告配信できるとてもメリットの大きい手法です。
しかし、近年個人情報保護を目的としたCookie規制の動きはリターゲティング広告にも大きな影響を及ぼします。
今回は、今さら聞けないリターゲティングの基本的な仕組みからポストCookie時代にマーケターが考えるべきことを解説します。
リターゲティング広告とは
リターゲティング広告はWEB広告の手法の一つです。
一度自社サイトを訪れたものの離脱してしまったユーザーが他のサイトを見ている際に、自社の広告を表示させることができる仕組みです。
興味関心をもった、もしくは一度は購入を検討したユーザーを狙って再びアプローチができるので、効果が出やすい手法として多くの企業で活用されています。
Yahoo!やGoogleなど数々の広告媒体がメニューとして提供しており、「サイトリターゲティング」や「リマーケティング」と呼ばれることもあります。
リターゲティングの仕組み
Cookieを使った追跡
リターゲティング広告には、WEBブラウザにユーザー情報を一時的に保存する“Cookie”が利用されています。
WEBサイトに一度ログインすると、他サイトに遷移してから戻ってきてもログイン状態が継続されるのはCookieの機能のおかげです。
リターゲティング広告を配信するためには、まずリターゲティング用のタグをWEBサイトの特定のページに設置する必要があります。タグ設置されたページをユーザーが訪れると、Cookieが付与されます。そのCookie情報を目印にユーザーを追跡することで、ユーザーが見ている他のサイトやSNSにおいても、自社の広告を表示させることができるのです。
配信条件のリスト化
リターゲティング広告では、タグを設置した時点からページに訪れたユーザー情報を蓄積し、リスト化されます。
タグを埋めれば自動的に生成されるリストもありますが、自社の広告戦略に合わせて状況別に細かく分けてリストを設定し、それぞれ広告を出しわけることで、より効果を高めることができます。
ECサイトを例にあげると、購入には大きく分けて4つのステップが考えられます。
①サイトのTOPページにアクセスする
↓
②商品詳細ページを見る
↓
③商品をカートに入れる
↓
④購入手続きをする
③で離脱したユーザーは、一度は商品購入を検討してくれたので、その商品のキャンペーン特価の情報を広告配信してみる。④のユーザーであれば、すでに商品を購入済みなので、リピート購入を促す広告を配信する、または広告の無駄打ちを避けるために配信リストから除外するといった方法が考えられます。
広告の配信目的に合わせて条件を考えていくことが必要です。
リターゲティング広告のメリット
離脱したユーザーに再アプローチできる
一度は興味をもってくれたユーザーに対して、再度広告を出すことで購入のリマインドができることが、リターゲティングの最大の強みです。
繰り返し商品やサービスを表示させることで、ユーザーの再来訪を促し機会損失を防ぎます。
狙ったユーザーに広告配信できる
細かくセグメント分けしたターゲットリストを作成することで、狙ったユーザーに効果的に広告配信することが可能です。
特定のページを見た離脱ユーザーに限定して広告を表示させたり、購入済ユーザーには関連した新商品を宣伝することもできます。
費用対効果が高い
よくリターゲティング広告は他の広告に比べ、CVR(コンバージョン率)が高いといわれますが、それは自社の商品やサービスにある程度興味・関心をもつ見込み顧客へアプローチできるからです。費用対効果が高い手法だといえるでしょう。
他の広告メニューと組み合わせた活用方法
リターゲティング広告は、下記の広告を組み合わせて活用することもできます。
バナー・ディスプレイ広告
GoogleやYahoo!などが提供しているバナー広告やディスプレイ広告は、WEBサイトの広告枠に表示される広告のことです。潜在層へアプローチし、認知拡大も期待できます。
コンテンツディスカバリー広告
WEBサイトで記事を読み終わったユーザーに、おすすめ記事として関連コンテンツを表示する広告のことです。
リターゲティング広告を組み合わせる際は、サイトのTOPページで離脱したユーザーには興味・関心を抱かせるような記事、ページを最後まで読み込んだユーザーには、購入を後押しするような記事をレコメンドするなど、よりユーザー個々に適したコンテンツを提供すると良いでしょう。
ソーシャルメディア広告
FacebookやTwitterなどのSNSでもリターゲティング広告は活用でき、組み合わせることでユーザーとの接点を広げることができます。
Facebookではカスタムオーディエンス、Twitterではテイラードオーディエンスという機能で設定が可能です。
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Cookie規制強化によるリターゲティング広告への影響
Cookieは、訪問したサイトのドメインが発行している1st party Cookie(ファーストパーティークッキー)と訪問したサイト以外のドメイン(第三者)が発行している3rd party Cookie(サードパーティークッキー)の主に2種類に分類されます。
自社のWEBサイトを訪れたユーザー情報を保存するために使われているのが1st party Cookieとなり、サイトを横断して付与されることはありません。一方で、3rd party Cookieはサイトを横断して付与できるため、離脱後のユーザーの行動を追跡し、リターゲティング広告に活用されています。
リターゲティング広告のみならず、多くのアナリティクス(分析)ツールも3rd party Cookieを利用しており、マーケティング施策には欠かせない仕組みでした。
しかし近年、個人情報保護に対する意識が世界的に高まってきており、ユーザー個人の趣味・嗜好が推測され、行動を追跡する3rd party Cookieに対して、プライバシーの観点から懸念の声があがりました。
GDPRやCCPR、改正個人情報保護法などの法規制が強化されたほか、GoogleやAppleもブラウザにおけるCookie利用の制限を発表しました。
Apple社
標準のWEBブラウザ「Safari」はプライバシー保護を目的とした「Intelligent Tracking Prevention(ITP)」機能を実装。
何度かアップデートされており、2021年現在の最新バージョンのITPでは3rd Party Cookieがデフォルトでブロックされています。
Google社
2020年1月、WEBブラウザ「Chrome」において3rd Party Cookieのサポートを2年以内に廃止することを発表。また、プライバシーの保護と広告配信を両立できる新しい技術「Privacy Sandbox」への取り組みを進めています。
3rd Party Cookieの廃止は現在2023年後半へ延期していますが、世界的にシェアの高いGoogleChromeにおいてリターゲティングができなくなると、多くの企業においてマーケティング戦略の根本的な見直しが必要になるでしょう。
このような時代の流れを受け、WEBマーケティング業界ではさまざまな対応や新技術の考案がすすめられています。最新情報をキャッチアップしながら、新たな施策の検討を進めていくことが重要です。
今後、ユーザー個人の行動を元にしたターゲティングは難しくなることは間違いないでしょう。一方的に追いかける広告ではなく、ユーザーが自ら情報を得たくなるようなコミュニケーションを考えていく必要があります。
効果的な広告を出すためには、まずは自社の商品・サービスに興味をもつ人のペルソナを細かく見直すことが必要になってきます。
潜在ユーザーの興味関心をより詳細に把握し、ニーズに応えていかなくてはなりません。
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まとめ
リターゲティング広告は費用対効果が高く、自社商品やサービスに興味・関心のあるユーザーにピンポイントで広告を配信できる非常に効果的な仕組みです。
一方で、ポストCookie時代はすぐそこまで迫ってきています。
直接的なリターゲティングが難しくなる中、新規顧客を効率的に獲得していくためには、Cookieに依存しない新たな施策を検討する必要があるでしょう。そのためには、正しいユーザー分析とペルソナ設定を元に仮説立てしていくことがとても重要です。
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