2020年からコロナ禍の影響でオンライン化が加速し、非対面で営業活動を行うインサイドセールスへ注目が集まっています。
日本でも導入する企業が増えているインサイドセールスですが、もともとはアメリカで生まれた概念です。国土が広く直接訪問には時間とコストがかかることから、効率よく成約につなげるために一般的に浸透しています。
本記事では、インサイドセールスの役割やメリット、成功のための流れについて解説します。
インサイドセールスとは
営業活動は、「フィールドセールス」と「インサイドセールス」の2つに大きく分けられます。
従来の訪問を中心としたセールス活動、いわゆる「営業」はフィールドセールスと呼ばれています。
一方で、インサイドセールスとは、メールや電話、WEB会議ツール、DMなどを活用し、顧客と直接会わずに行う営業手法のことです。
よく「インサイドセールスはテレアポだ」と思われがちですが、テレアポは手段のひとつにすぎません。
見込み顧客(リード)へのヒアリングを通して、自身もまだ気づいていなかった課題を明確化し、顧客へと育てていくリードナーチャリングを行います。インサイドセールスの主なミッションは関係性を深めていくことなのです。
マーケティング部門とフィールドセールス部門の間でリードを育成し、商談につなげる架け橋としての役割を果たす場合が多いですが、受注契約や商品購入といったクロージングまですべて行う場合もあります。
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インバウンドセールスとの違い
よく似た言葉に、「インバウンドセールス」という言葉があるので、少し触れておきましょう。自社が有益な情報を発信することによって、リードの興味関心を惹き、問い合わせなどのアクションをもらうことをインバウンド、リードからのアクションに対して営業活動を行うことをインバウンドセールスといいます。いわゆる「プル型営業」です。
反対語は「アウトバウンドセールス」で、自社商品を認知していない相手に飛び込み営業をかけたり、テレアポをする手法で、「プッシュ型営業」ともいわれます。
インサイドセールスは、基本的にはインバウンドセールスの中の1つの手法であると考えるとわかりやすいです。インサイドセールスは、リードの獲得や育成をオンラインを駆使して、対面することなく進めていくことが特徴ですが、インバウンドセールスはオンラインとは限りません。
しかし、実は必ずしもインサイドセールス=インバウンドセールスではないところが面白いところです。例えば、メルマガで反響があったリードに対して、オンラインで営業をかける「アウトバンドセールス」を行うこともあるのです。
インサイドセールスを導入するメリット
効率的なアプローチが可能
従来のフィールドセールスは信頼関係が構築しやすいメリットがあるものの、リードがまだ興味関心の低い状態であったり、ターゲットから外れていたとしても同じように工数をかけて訪問しなくてはいけないため、時間とコストが無駄になることも少なくありませんでした。
予めインサイドセールスによってリードの育成を行い、興味関心の高い見込み顧客を見つけてからフィールドセールス部門に引き渡すことで、効率よく成約へと進めることができるようになります。
さらにフィールドセールス部門は成果につながりやすいリードにのみ集中することができ、商談精度の向上が期待できます。
営業スキルの標準化
飛び込み営業のような手法は、担当者のスキルによって成果が左右されやすく、属人的なものになりがちでした。インサイドセールスを導入するとリードの検討段階を把握できるので、購買意欲の高い見込み顧客へ優先的にアプローチでき、個人のスキルに左右されにくくなります。また、一定レベルの営業の質が確保できるため、ナレッジの共有もしやすくなり、組織全体の営業スキルが強化されます。
数値分析しやすい
リードの認知から案件化までを管理するMAツール、訪問営業ログのSFAツールを連携させることで、受注に至るまでの過程を可視化して、数値分析できるようになります。
そのデータを活用すれば、半年~1年先の売り上げ予測を立てたり、施策を考えやすくなります。KPI設定も、データに基づいた根拠のある目標をたてることが可能になります。
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インサイドセールスの種類
インサイドセールスには大きく分けて2つの手法があります。
SDR型(反響型)
主に顧客からの問い合わせを受けて、新規リードと接触します。
資料請求や展示会からの問い合わせ対応をしたり、WEBサイトやSNS、メルマガ等で情報発信を行うことで、問い合わせ数を増やす役割も担います。
自社を認知している、購買意欲の高いリードを担当するため、ヒアリング力が重要です。また、リードの温度感が下がらないうちにアプローチをかける必要があるので、スピード感を持った対応が求められます。
BDR(新規開拓型)
顧客からのアクションに対応するSDRとは違い、新しい顧客を見つけるために自らアプローチするのがBDRです。
代表番号への電話、決裁に関わるキーマンへのメール等、積極的かつ地道なアプローチが必要となります。
自社を認知しておらず、購買意欲も不明な潜在層が主なターゲットとなり、接点が持てたとしてもアポイントや商談成立のハードルが高くなります。逆にいえば、その労力に見合った大きな成果・ベネフィットが見込めるリードにのみに行う戦略といえるでしょう。
どちらの手法であっても、顧客が関わりをもつ最初の窓口となるため、ここで企業の印象が決まるといっても過言ではありません。
適切な情報提供とヒアリングによる信頼関係構築が重要とされるポジションです。
インサイドセールスの手順
①購買意欲の高い顧客層を知る
まずは既存顧客が購買に至った経緯を確認し、ニーズを洗い出すことが重要です。そうすることで、購買意欲の高い見込み顧客のライフスタイルや興味関心、課題などが見えてくるので、その後のセールスにおいてもに役立ちます。
②信頼関係を築き、購買意欲を高める
リードの購買意欲を高めるため、有益な情報を提供します。
具体的な手法としては、WEBサイトやSNSでの情報発信、メルマガ、WEBセミナーの開催などがあります。
ここで注意すべきことは、相手の状況によって最適なタイミングや情報提供の方法が異なることです。すべてのリードに同じタイミングで情報を提供しても、逆に「不要な情報ばかりだ」と離れていってしまう可能性もあります。相手の検討段階に合わせた情報提供を行うことがインサイドセールスの肝となります。
また、リードからの問い合わせ等のアクションがあった場合には素早く対応し、信頼関係を構築することも大切です。
③潜在的な課題やニーズを知る
②のフェーズで見込み顧客と信頼関係を築けたら、さらに継続的にコミュニケーションを取り、ヒアリングを行います。
顧客自身も気づいていない潜在的な課題やニーズを掘り起こすことで、その後の営業活動において、相手のニーズに合わせた提案が可能になります。
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④相手にとってのベネフィットを伝えられる提案
ここで、ただ単に自社商品・サービスのメリットを伝えるだけでは今までのプロセスが無駄になってしまいます。
③で把握した相手の潜在的なニーズを踏まえ、自社商品・サービスが相手にどのようなベネフィットをもたらすか、しっかり伝えられる提案を行うことが重要です。
そのためには、インサイドセールス担当は自身の部門だけではなく、マーケティング、フィールドセールスなど各部門同士の情報共有を徹底し、綿密にコミュニケーションをとっていく必要があります。
まとめ
インサイドセールスは、従来の営業力を効率化させることができる仕組みです。
見込み顧客自身も気づいていなかった課題やニーズを掘り起こし、商談成立へと導く重要な役割を担っています。
今後、企業の営業活動においては、インサイドセールスを上手く活用して、効率的に顧客のニーズに応えていくことが求められてくるでしょう。メリットを良く理解し、自社にどのように取り入れるべきか、検討してみてはいかがでしょうか。
インサイドセールスの第一歩として、適切なターゲット層を把握するためには、見込み顧客となるユーザーがどのようなユーザーで、どんなニーズを抱えているのか把握することが欠かせません。
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