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【第8回】最重要!マーケ・営業担当者の心得「まずは相手に興味を持て!」

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マーケティングの今とこれからを探っていく連載コラム「ボーン・トゥ・プラン ~明日なき計画~」。第8回の今回は、マーケ・営業担当なら肝に銘じておきたい心得「まずは相手に興味を持て!」について。新規顧客の獲得や受注を生み出そうとすると、ついついやってしまいがちなのが「自社商品・サービスの押し売り」。もちろん、自社商品・サービスを売るためには重要なことなので訴求・提案してはいけない訳ではありません。ただ施策や商談を進めていく上で大切なのは「相手の立場にたった訴求・提案ができているか」ということです。この部分がズレた状態のまま、売ることだけを考えて話を進めようとすると、当然ですが相手は聞く耳を持ってくれません。では、そういった事態を避けるために私たちがやるべきことは何なのか…?デジタルマーケティングの申し子「アナイグマ」が分かりやすく解説します。
第7回はこちら

アナイグマって??

イントロダクション

新規顧客獲得に勤しむ営業メンバーのたけし君。何はなくともまずはアポイント、ということで猪突猛進で電話をかけています。

アナイグマさん聞いてください!やっとアポが取れたんですけど、取れたら取れたでウチのサービスの紹介以外に何を話せばいいのかわからなくて、、

アポとれて良かったね~。ちなみにその相手のことはどのくらい分かっているの?

うーん、電話で伺った情報だけなので、担当商材と領域くらいしか分からないですね…

なるほど。ではまず相手に興味を持って、色々検索したり、調べたりして仮説を立ててみましょう!

マーケも営業も「まずは相手に興味を持って、色々調べて仮説を立てるべし」

アポの際によくあるのが、こちら側の言いたいことを伝えようとするあまり、自社の商品・サービスの強みや特徴といった話ばかりをしてしまうことです。
たしかに、自社の商品・サービスを売っていくためには大切なことですが、それだけだと相手から敬遠されてしまいます。営業で重要なことは「聞く」ことです。ヒアリングによって情報を引き出すことで顧客自身も気づいていない課題を見つけ、提案に繋げていく。マーケもしかりで、ユーザー分析によって潜在的な心の声を聞く=ニーズを発掘していくことが一番大事です。

そこを踏まえずに独りよがりに語ってしまう、、そのような事態を避けるためにも、まず「相手に興味を持つ」ということを心掛けましょう。
相手に興味を持って色々調べると、顧客が今やっている取り組み・やりたいこと等が自ずと見えてくるはずです。そうなると今度はそれについて質問したくなってくるものです。例えば顧客のサイトを見てみるだけでもヒントとなる情報が得られやすいので、「こういう所を目指したいのではないか」「あんなことに困ってるのではないか」という仮説を立てることができます。

特に顧客のコーポレートサイトとかECサイトなんかは、仮説を立てるために必要な情報が溢れています。何から始めればいいか迷っているなら、まずサイトを見て、そこから紐解いていきましょう。

【実例を元に解説】仮説を立てれれば「顧客が目指していることが分かってくる」

では実際に私が「某大手アウトドア用品メーカー」のアポの前に行った方法を例に解説するね。

よろしくお願いします!

何を訴えようとしているサイトか?

まずそのコーポレートサイトを見て思ったことは「アウトドア用品メーカー」なのに自社製品について、トップページではほぼ載せていないな、ということでした。

確かに!普通は製品のことを前面に打ち出しますよね。

実際に見てみると何故かトップページにあるのはキャンプの楽しみ方、とかキャンプ料理のレシピとかのコンテンツへのリンクばかり。よく見るとひっそりとECサイトへのリンクが貼ってあり、まったく別で設けられているということもわかりました。

ここで私が思ったのは「このサイト担当者が見せたいのは、製品ではなくコンテンツなんだろうな」ということ。つまり製品を見せたいのではなく、「キャンプという体験を提供したい」という思いのもと作られているサイトなのでは?という仮説が立ちました。

確かにECサイトはしっかり分けられているし、サイトの雰囲気も違うから、担当している人も違う気がしますね。

その通り。実際に担当者に確認したら、各サイトは別々の部署が担当しているらしいよ。

何でそういう仕組みになっているのか?

まぁでもEC担当が別部署なんて、大きな企業ではよくあることだし珍しいことではないよね。肝心なのは、だからと言ってコーポレート側で製品軸の訴求を全くしていないその理由なんだ。

そうですよね。別にECがあるからって、メーカーなのに製品のことに触れないのって謎ですね。。

ヒントはECへのリンクが「あまり目立たないように」ひっそりと置かれていた点だよ。

う~ん、どうしてなんだろう…

じゃあ、たけし君がキャンプをやるとして、アウトドア用品をどこで買おうと思う?

実際に見て買うならホームセンターとかですね。ネットなら楽天とかAmazonで買ってますね。ポイントもつきますし。

そうですよね、リアルだとアウトドアショップや大型のショッピングモール、ホームセンターなどが多く、ネットだとほとんどの人が大手流通サイトから買っていると思います。メーカーのECサイトで買うっていうのは、物凄くそのメーカーが好きな人とかじゃないかな。

確かに。直販って定価で売られてて高いイメージあるから、大体は大手流通サイトで買うでしょうね。

楽天・Amazonのような大手流通サイトでの販売をメインにするということは、そこより直販を安く売るということはほとんどありません。
(直販メインの手法を取るなら、流通サイト側は製品を置く意味がなくなってしまいますからね)

つまり、メーカーとしては直販の方を安くしたり、大々的に広告打って集客するのって難しいんですよ。小売との関係もありますから。だから、この2つのサイトはそれぞれ役割が異なっていて、製品=モノ軸のECと、キャンプへの興味醸成コンテンツ=コト軸のコーポレートというように、訴求軸も敢えて分けているんだろうなという仮説が立ちます。

仮説を踏まえた上で、イメージを膨らませよう

ここまでの仮説を踏まえて、何を提案すればいいか思い浮かぶかな?

まずこの顧客に対してECへの誘導数向上!とかを提案するのはNGだと思うので、ブランディング面でウチが貢献できることを考えますね。

おお、いいですね。

ファーストコンタクト時に「こうなんじゃないか」という仮説をもとに質問をして答え合わせをしていけば、自社で提案できることやどういう風に設計していくかが概ね決まってくるはずです。

ちなみに今回私が立てた仮説を担当者に確認したら、大体当たっていましたよ。

すごい!こうやって仮説を立てていけば、提案時もスムーズに話を進められますね!

商談の際は、こうしたイメージをある程度完成させた状態で望むのが鉄則です。相手に興味をもって情報収集すれば、自ずと話題や提案すべきことが思い浮かぶでしょう。

これは営業だけでなくマーケでも使える大切な手法です。まずは相手に興味を持つこと。営業であれば、せっかく短い時間でもチャンスをくれた相手です。どんな人なんだろう、どういう企業なんだろう、もし自分がこの担当ならどう考えるだろう、、マーケであれば、どんな人がこの商品の特性に合っているのだろう、どういう課題を解決したいと思っているのだろう、、自分ごと化して興味を持って仮説を立てることが大事な一歩です。

はい!アドバイスありがとうございました!

日頃から色んな事に興味を持ち、仮説を立てる習慣をつけよう

仮説を立てるといっても、そう簡単にレベルの高い仮説を立てれるようになる訳ではありません。アナイグマのようになるには、日々の業務や生活で「考える」材料がないか意識しながら、トレーニングしていく必要があります。

私が最近感動した花王様のテレビCMの内容を題材に練習してみましょう。

まずはこちらのCMをご覧ください。

これを見てどんなことを考えましたか?

タレントを起用していないから、制作費が抑えられているな~と。

お、コストっていうのはいい着眼点ですね。私はこれを一通り見て、こんなことを考えました。

今世界中で燃料が高騰する中、多くのメーカーで問題になっているのが「コスト」。
コストを抑えるためにまず何が削られるか、というと悲しいがなおそらく「宣伝広告費」だと思います。今までのように各プロダクト毎にCMを打ち出してしまうと費用対効果が合わなくなってくるからです。

しかしこのCMでは、企業全体で1つのメッセージを打ち出して、全商品を紹介するという形をとっています。つまり、全体の宣伝広告費を下げたり、投下量は絞っているけど、露出量は減らさないような戦略をとっているんだろうなと仮説を立てました。

また日常レベルに置き換えて「起きてから寝るまでの間に、こういった花王の製品がありますよ」というメッセージを伝えています。
本来であれば、花王の商品をたくさん使ってほしいという気持ちはありつつも、消費者自体も「コスト高」の影響を受けているので、色んな無駄を減らしていきましょうというメッセージも込められていると思います。

CSRの部分も入っていると思いますが、花王としてはいかにロスを減らすかということを考えている。 そして、消費者には花王は節約観点での訴求をしっかりと行っているから、花王の製品を使えば日々の生活が効率よくなりますよということも伝えようとしているんじゃないかなと思いましたね。

なるほど~ただCMを見るのではなく、そこに込められている思いやメッセージを読み解きながら仮説を立てると、様々なイメージができますね!

はい。身近なことでも問題ないので、日々色んなことに興味を持ちながら仮説思考を養っていけるといいですね!

頑張ります!

※この見解はあくまでアナイグマの仮設です。

アナイグマのひとこと

私は日頃から心掛けていることがあって、それはお手伝いさせていただく広告主さんたちの商品、サービスをまず自分が使ってみることです。飲料メーカーさんの広告であればケースで買って飲んでみます。アプリならまずはインストールしてみます。自分では買えないような医療機器とかは別ですが、、その広告主さんがどういう思いで商品・サービスを作り、世の中に広めたいと思って広告を打つのか。その思いを紐解いて提案を考えるほうが遥かに内容が良くなると思います。そのためには自分が使えるものであれば、使ってみない手はありません。使えないようなもの、先ほどのような高額な医療機器とか、ターゲットじゃないものであったら、使っている人の意見を拾いに行きます。自分が担当する顧客のことに興味を持つというのはそういうことだと思います。そしてそれは当然だと思うんです。プログラマティック広告が台頭してきたことで、見る指標が定量的な数値ばかりになり、ABテストで効果が悪い方を切っていく、というようなことはマーケティングの本質ではありません。人が物を買うには感動が必要だと思います。人の心を動かすためには、広告でどう伝えればいいのか、作り手の思いとユーザーの課題を突き詰めて考えることが本質だと私は思います。

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