プライバシー保護の観点から、ブラウザのCookie情報を利用することに対する規制が強化され、2023年には「Cookieレス時代」に突入します。
インターネット広告を扱うマーケターにとってはこれまでの手法を考え直す大きな転換期になりますが、それらに備えるためのソリューション開発が進んでいることはご存じでしょうか?
今回は、いま注目を集め始めている「コンテクスチュアルターゲティング」の概要や実施する際のポイント等について解説していきます。
ポストCookieとなる注目のソリューション
現在、世界中でCookie規制の強化が進められており、幅広く活用されてきた「3rd Party Cookie」が利用できなくなってしまいます。そのため、多くの企業がCookieレス時代に備えて、代わりの手段を検討せざるを得なくなりました。
そこで下記のようなポストCookieとなり得るソリューションが注目を集めています。
■Googleの「Topics」ブラウザがユーザーの関心事について学習して広告を表示
■Facebookの「コンバージョンAPI」など、プラットフォームに対応した独自の広告識別子
■The Trade Deskの「Unified ID」など、ユーザーのメールアドレスを暗号化・ハッシュ化して作成する広告識別子
■「コンテクスチュアルターゲティング」各ページにある情報から「文脈」(コンテキスト)を解析して最も適した広告コンテンツを自動配信するコンテンツ連動型広告
今回は中でも注目を集めている「コンテクスチュアルターゲティング」について詳しくみていきましょう。
▶関連:1st party Cookieと3rd party Cookieの違いとは?Cookieの規制とその影響も踏まえてご紹介!
コンテクスチュアルターゲティングとは
コンテクスチュアルターゲティングとは、特定のWebページにあるキーワードや画像等のコンテンツをAIで解析して、そのページに合った広告を自動配信する手法です。
特定のページに訪問したユーザーに、そのページと関連性の高い広告を配信することで、興味を引いて接触率を高めたり、ユーザーが広告を違和感なく受け入れられる仕組みになっています。例えば、ユーザーがヘアアレンジの記事を読んでいた場合、「整髪料」や「ヘアケア化粧品」といった「髪」に関連する広告を自動で配信するイメージです。
コンテクスチュアルターゲティングの重要性
コンテクスチュアルターゲティング自体は新しい手法ではなく、2000年頃から存在しているものです。では、なぜまた注目され始めているのか、その重要性について解説します。
ブランドセーフティと適合性
多種多様なWebサイトが増えたことにより、ユーザーは自ら様々な情報を取得できるようになりました。その一方で広告主にとっては、数多くある場所からどこを選定すればリスクなく、ユーザーとよりマッチして成果を出せるのかという課題がありました。残念なことに現代には、良質なサイトばかりでなく悪質なサイトも多く存在するため、配信場所には敏感にならざるを得ません。
しかし、コンテクスチュアルターゲティングのように、Webページ内のコンテンツを基にAIが自動で広告配信を行えるようになれば、そのようなリスクを解消することが可能になります。また、テクノロジーの発展によってキーワードや画像だけでなく、文章のニュアンス等も汲み取った上でより関連性の高い広告を配信できるようになったため、リスクを大幅に軽減することができました。
3rd Party Cookieに依存しない
広告の配信手法でも有名なリターゲティング広告等は、ユーザーのCookie情報を解析し、Web上の行動を把握することで、特定のターゲットユーザーに広告を配信しています。これは、前述のように3rd Party Cookieに依存している手法であるため、今後のCookieレス時代では使用できません。
しかし、コンテクスチュアルターゲティングは、そのWebページ自体のコンテンツを基に適切な広告配信を行えるので、3rd Party Cookieへの依存から脱却することができます。
精度の高い手法
従来までのコンテクスチュアルターゲティングより、AI技術が発展したことで精度も格段と向上しました。
NLP(自然言語処理)と呼ばれる、人々が日常で会話するような言葉を分析する技術が導入されたことによって、単なるキーワードや画像ベースではなく、文脈や感情といった部分をより理解できるようになっています。これにより、ちょっとした文章のニュアンスからでも広告の選定ができるようになったり、より関連精度を向上させることに繋がりました。
コンテクスチュアルターゲティングを実施する際のポイント
次に、コンテクスチュアルターゲティングを実施する際に抑えておくべきポイントを解説します。
ユーザーの検討度に差
先述の通りコンテクスチュアルターゲティングは、そのWebページとの関連性の高い広告を配信する手法ですが、訪問したユーザーが必ずしも自社の商品・サービスに興味が高いという訳ではありません。単に情報収集をしているユーザーもいれば、かなり興味を持った温度感の高いユーザーもいます。つまり、ユーザーの中でも検討度の違いが生じてしまうのです。
これまでのリターゲティングや行動ターゲティングのように、自社サイトに来訪するような興味関心が高いユーザーばかりではないことを認識しておきましょう。
クリエイティブの出し分けが困難
前述のような検討度の違うユーザーによって広告を出し分けをすることは、現状難しいとされています。自社でどんなターゲット層を狙うか、どのようにアプローチしていくかで、広告クリエイティブの方針を変える必要があるでしょう。
まとめ
今回は、コンテクスチュアルターゲティングの概要や実施する際のポイント等について解説
しました。
マーケティング活動を行っていく上でCookieは重要なものであり、それに依存している企業も少なくありません。今からCookieレス時代に備えて、新たな施策を打っておくようにしましょう。
自社だとまず何からすればいいのか分からない、どのように進めていけばいいのか悩んでいる等の課題を抱えている方は、ぜひ当社までお気軽にご相談ください。
ソーウェルバーでは、人工知能を活用して、ユーザーが自社サイト外の「どこで/何を」しているかを可視化することができます。新たな広告施策の一手を一緒に進めて参ります。