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SNS時代に気をつけたい「エコーチェンバー現象」とは?問題点、対策について解説

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SNSが発達し、欠かせないものとなった現代。
さまざまな情報が入ってきて便利な反面、デマやフェイクニュースに惑わされてしまったり、自分の主張と合わない人からのバッシングが起きたり…といった問題が増えています。
今回は似た価値観の者同士でフォローし合っていると陥りやすい「エコーチェンバー現象」について、具体例や対策を交えながら解説します。

エコーチェンバー現象とは?

「エコーチェンバー現象」とは、SNSで自分と似た興味関心を持つユーザーを多くフォローするうちに、同じような考えや価値観にばかり触れるようになった結果、自身の意見や思想があたかも世の中で「多数派だ」、「正解である」と誤解してしまうことです。
閉じた小部屋で音(自分の意見)が反響する物理現象に例え、エコーチェンバー(反響室)現象と呼ばれています。
閉鎖的な空間でコミュニケーションをとる状況では、自身の意見や思想に対する確信を強め、誤った意思決定や行動をしてしまう可能性があるためネットメディアの問題として取り上げられることが多くなっています。

エコーチェンバー現象と共にインターネット上で起こる問題として取り上げられる現象に、「フィルターバブル」と「サイバーカスケード」があります。
どちらもエコーチェンバー現象と密接に関連しているため、違いを把握しておきましょう。

フィルターバブルとの違い

インターネット上では、個人の検索や閲覧履歴から各々の好みを学習したアルゴリズムによって最適化された情報を、優先的に表示させる機能があります。
フィルターバブルは、この機能によって自分の好みに合った情報にのみ囲まれ、自分と異なる考え方や価値観が目に入らなくなる(情報の泡「バブル」に包まれる)状態になることをいいます。
情報の真偽よりもユーザーのアルゴリズムに合った情報であることが優先されるため、表示された情報がどのくらい偏っているのか、または真実であるのかがわかりにくい環境が出来上がってしまうことが恐ろしいところです。
エコーチェンバー現象が自分の意思で他者と繋がるのに対して、フィルターバブルは受動的に流れてくる情報を受け取るだけなので、他者とは関係ありません。

サイバーカスケードとの違い

サイバーカスケードは、同じ考えや思想を持つ人々がインターネットのサイトや掲示板などで強力に結びついた結果、異なる意見を一切排除した閉鎖的なコミュニティを形成することをいいます。
カスケードとは階段上に水が流れる滝のことであり、人が特定の一つの意見に流されていき、最終的に大きな流れとなることを表しています。
集団極性化の一種として知られ、個人で意思決定を行うよりも極端な意見に先鋭化しやすいことが特徴です。

サイバーカスケードは集団で議論する中で特定の意見を支持していくのに対して、エコーチェンバー現象は自身の意見や思想が正しいという前提があり、その他の考えを排除していくことが違いです。

エコーチェンバーの要因となる確証バイアス

エコーチェンバー現象を発生させる心理的な要因の一つに「確証バイアス」があります。
確証バイアスは、自分が持っている意見や信念を肯定するため、自分にとって都合の良い情報ばかりを集め、不利な情報を無視してしまう思考の歪みのことをいいます。
例えば、「長男は真面目」という先入観を持っていると、相手の「真面目」な面ばかり注目してしまい、知らず知らずのうちにレッテルを張ってしまいます。
人は心理的に「自分の考え方を補強するような情報や意見を求めがち」であるため、エコーチェンバー現象に繋がりやすいのです。

エコーチェンバー現象の問題点

自分と同じ考えや価値観を持つ人が集まるコミュニティに属することは心地よく、それ自体が問題というわけではありません。
閉鎖的なコミュニティの中にいると、日常的に目にする意見に偏りが出てきてしまいます。
自分とは異なる意見は排除され、常に同じような意見ばかり目にするようになるため、それ以外の価値観は間違っていると思えてくることが問題です。
例え自分の意見が世間の常識や事実からかけ離れていても、「自分の意見は正しい」という思い込みにつながりやすいのです。

エコーチェンバー現象の具体例

日本:新型コロナウィルスに関するフェイクニュース

新型コロナウイルスの感染拡大によって、多くの不確かな情報がSNS上に流れ、社会が混乱したことは記憶に新しいでしょう。
2021年には「コロナワクチンを打つと不妊になる」という根拠のない情報が広がってしまったことを受け、医師や公的機関が「ワクチン接種で不妊になるのは誤った情報である」と情報発信しました。
この出来事の原因はエコーチェンバー現象だといわれています。
同じ意見を持つもの同士で投稿をシェアし、その意見ばかりに触れた結果、不確定な情報を信じてしまい、社会的分断を生み出してしまいました。

アメリカ:連邦議会乱入事件

2021年、アメリカの連邦議会においてトランプ派のデモ隊が乱入し、複数の死者が出る衝撃的な事件が起こりました。
この事件に大きな影響を与えたのが「特定の出来事が、邪悪な集団や人物による陰謀または策略によるものだ」とする陰謀論だといわれています。
「Qアノン」と呼ばれる陰謀論が大きく関わっていたとされますが、元々の発端は2017年に「Q」と名乗る人物がアメリカのインターネット掲示板に書き込んだ投稿でした。
それがエコーチェンバー現象やフィルターバブル現象によって徐々に広がっていき、人々の心を強く掴み、実際に死者が出る大きな事件にまで発展してしまったのです。

エコーチェンバー現象を回避するための対策

エコーチェンバー現象に陥らないためには、自身のメディアリテラシーを高めることが大切です。

情報を安易に信じ込まず、1次情報にアクセスする

SNSで拡散されている情報には、投稿主の見解が混ざっている場合も少なくありません。
元々の情報の出所や真偽を確認した上で、発信や拡散をしていくことが大切です。

世間には自分と違う意見や思想を持った人がたくさんいることを認識する

同じ価値観や意見を持つ人との繋がりは心地よいものですが、その人たちばかりと関わっていても視野は広がりにくいです。
あえて自分とは違う意見や思想を持つ人の発信を見て、多様な考え方・主張に触れておくことも必要です。

自身を客観視し、「エコーチェンバー現象に陥っていないか?」自問する

自身を客観視することは難しいですが、エコーチェンバー現象の存在を理解しているだけでも、自分の属しているコミュニティの意見を一歩引いて捉えることができます。

アルゴリズムに学習させない設定をする

シークレットモードで閲覧履歴が残らないようにブラウザを利用したり、SNS上のレコメンド機能をオフすることで、多様な情報を得られる設定にしておくことも有効です。

普段から正確な情報の取得、多様な意見や考えに触れる環境を作っていくことが何よりの対策になります。

まとめ

SNSは情報取集に非常に便利なツールです。
自分の好みや価値観を受け入れてくれる人と簡単に繋がることができたり、個人に最適化されたアルゴリズムは効率的に情報を届けてくれます。
しかし高い利便性がある反面、偏ったコンテンツばかり目に入りやすいデメリットがあることも確かです。
改めて世の中には多様な意見があることを認識した上で情報を収集するようにすること、自分が「エコーチェンバー現象に陥っていないか」客観視し、慎重な行動を取ることが必要になってきています。

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